ExcelでOK!最も簡単な資金繰り表の作り方

貴社では、資金繰り表を作っていますか?
「作ったほうがいいのは分かっているんですけど……」
という社長さん、経理担当者さん、怒ったりしないので大丈夫です。お気持ちはよく分かります。
資金繰り表を作れない理由は、様々だ思います。
- 作り方がよく分からない
- 作るのが面倒くさい
- 銀行に要求されたら作る資料だと思っている
あたりでしょうか?
資金繰り表の目的は、将来の資金推移をシミュレーションすることです。
もし、貴社が一度でも資金調達に奔走したことがあるのなら、資金繰り表の重要性を感じていらっしゃるかと思います。
ベーシックな資金繰り表の作り方
ベーシックは資金繰り表は、このような形をしています。
これは「月次資金繰り表」と呼ばれる形式の資金繰り表です。決まった書式はないため、会社によって項目が異なることがあります。
金融機関から資金繰り表を求められた際は、この形式に「これまでの実績」と「今後の予定」を書き込んで提出します。

■(外部サイト)分かりやすい資金繰り表の作り方-ポイントとメリットを解説 | りそなCollaborare
月次資金繰り表のメリット・デメリット
月次資金繰り表の特徴について、確認してみますね。
メリット
- 何月度に資金がショートするのか分かる。言い換えると、何月までに資金調達が必要なのか分かる。
- いざというときに、どの種類の支払いを待ってもらえばいいのか分かる。
(買掛金支払、人件費、その他販管費、税金、借入金返済など) - 過去の実績を俯瞰することで、季節変動などの傾向を読み取れる。
- 金融機関に提出することで、今後の資金計画についての信用が得られる。
デメリット
- 何月何日に資金ショートするのか分からない。
また、月内の資金推移が分からないので、月内に一瞬だけ資金ショートする場合に気づきにくい。 - 銀行口座ごとの残高が把握できない。
- 各項目や実績を集計して記入するのが面倒くさい。
- 項目がごちゃごちゃしているし、数字だらけで読みにくい。
月次資金繰り表を作るのって面倒くさいし、数字ばかりで嫌になっちゃいますよね。笑
もっとも簡単な資金繰り表の作り方
資金調達にかかるタイムラグを考えれば、半年先や1年後までの資金繰り予定表が必要です。
一方で、資金繰りがひっ迫しつつあるときは、いつ、どの口座の資金がショートするかを知りたいわけです。そんなときに、はるか先の予定まで月次資金繰り表を作っていられない!というのが本心ではないでしょうか。
だったら、銀行に言われるまで月次資金繰り表を作らなければいい、というのが私の考えです。
どういうことかというと、代わりに「日次資金繰り表」を作るのです。
資金繰り表の目的は、将来の資金推移をシミュレーションをすることです。
つまり本来は、資金繰り表の形式は何でもいいのです。
資金繰り表は「自社のために作るもの」ですから、銀行に提出することはいったん忘れましょうか。
というわけで、資金繰り表を「通帳形式」で作ってしまいましょう!
通帳形式も、れっきとした資金繰り表です。「日次資金繰り表」とか「日繰り表」と呼ばれます。
イメージとしては、以下のようなものです。

日次資金繰り表には、以下のメリットがあります。
- つくりがシンプルで分かりやすい
- 項目を集計して記入する必要がない。
- 金額や日付を正確に記入しやすい。
- 口座ごと・日別の残高が分かる
- 実績と予定をシームレスに記入できる
Excelで作るメリットもあります。
- Excelで作成すれば、簡単にグラフにできる。
- Excelなのでカスタマイズがしやすく、メモ等を記載しやすい。
- 定期入金や定期出金もコピーしやすい。
- やろうと思えば、1年以上先の資金繰り表まで楽に作れる。
ポイント
- 月次資金繰り表の項目に合わせて「取引区分」を記載しておきましょう。
いざ「月次資金繰り表」を作ることになった際、集計がしやすくなります。
私は実際に、日次資金繰り表を集計して月次資金繰り表にすることがありますよ。
追記:Excelで複数口座の資金繰り表を管理したい方は、こちらもお読みください。
おまけ:資金繰り表作成ソフトを調べてみた
「資金繰り表を楽に作れるソフトウェア」も調べてみました。
ソフトごとのメリット・デメリットをまとめましたので、参考になさってください。
ソフト名 | milestone【クラウド資金繰り表ソフト】 https://mile-stones.jp/ |
機能 | 資金繰り表(口座別月別グラフ表示、口座別日別表示、取引先別月別表示) |
資金繰り表の形式 | 独自形式の月次資金繰り表 ・日別表示 :あり ・口座別推移表:あり ・グラフ表示 :あり(口座別グラフもあり) ・印刷対応 :印刷OK |
予定の入力 | ・CSV一括インポート機能あり ・繰り返し機能あり |
過去実績の入力 | 1項目ずつ手入力 |
メリット | ・残高調整機能がある(とりあえず残高を合わせられる) ・日別の残高推移が縦並びで読みやすい ・売掛金・買掛金管理機能がある ・デザインが可愛くて直感的 |
デメリット | ・ベーシックな月次資金繰り表ではない ・過去実績について、会計ソフトと多重管理になる |
ソフト名 | 弥生会計プロフェッショナル【会計ソフト】 https://www.yayoi-kk.co.jp/products/account/ |
機能 | 「見積資金繰り表」と「実績資金繰り表」 |
資金繰り表の形式 | ベーシックな月次資金繰り表 ・日別表示 :なし ・口座別表示 :なし ・グラフ表示 :なし ・印刷対応 :印刷OK |
予定の入力 | 1項目ずつ手入力 |
過去実績の入力 | 自動集計 |
メリット | ・仕訳から実績を自動集計してくれる ・勘定科目として、売掛金・買掛金の管理ができる |
デメリット | ・資金繰り表に使うために仕訳をしないと、実績をうまく集計できない (単一仕訳で入力する必要がある) |
ソフト名 | 会計freee【クラウド会計ソフト】 https://www.freee.co.jp/houjin/cashflow/ |
機能 | 「資金繰りレポート」 |
資金繰り表の形式 | 独自形式の月次資金繰り表 ・日別表示 :なし ・口座別表示 :あり ・グラフ表示 :あり ・印刷対応 :印刷NG |
予定の入力 | 1項目ずつ手入力 |
過去実績の入力 | 自動集計 |
メリット | ・勘定科目ごとに集計するため、資金繰りの改善ポイントを見つけやすい ・納税額を試算する機能がある ・勘定科目とは別に、売掛金・買掛金管理機能がある (入金/出金レポート、年齢表※) ※年齢表……売掛金・買掛金の発生後の経過日数や残高を確認できる資料 |
デメリット | ・ベーシックな月次資金繰り表ではない ・項目が勘定科目ごとで、ごちゃごちゃしている |
ソフト名 | feliz(フェリス)【クラウド資金繰り表ソフト】 https://tact-info.com/cashflow/ |
機能 | 資金繰り表(日別表示、月別表示) |
資金繰り表の形式 | ベーシックな月次資金繰り表 ・日別表示 :あり ・口座別表示 :あり ・グラフ表示 :あり(資金推移のグラフは無し) ・印刷対応 :印刷OK |
予定の入力 | 繰り返し入力機能あり(定期入金や定期出金) |
過去実績の入力 | 1項目ずつ手入力 |
メリット | ・銀行口座ごと・月別・日別の残高を確認できる ・複数パターンのシミュレーションを作成できる ・小項目を折りたたんで表示し、見やすくできる ・売掛金・買掛金管理機能がある |
デメリット | ・日別の残高推移が横並びで読みにくい ・過去実績について、会計ソフトと多重管理になる ・良くも悪くも、デザインが資金繰り表くさい |
比較として、Excelで資金繰り表を作った場合も書いておきます。
ソフト名 | Excelで日次資金繰り表を作った場合 |
機能 | なし |
資金繰り表の形式 | 日次資金繰り表 ・日別表示 :できる ・口座別推移表:できる ・グラフ表示 :できる ・印刷対応 :印刷OK |
予定の入力 | ・1件ずつ入力できる ・他ソフトからインポートできる ・繰り返し登録ができる(コピーできる) |
過去実績の入力 | ・1項目ずつ手入力 ・他ソフトからインポートできる |
メリット | ・残高調整できる(とりあえず残高を合わせられる) ・日別の残高推移が縦並びで読みやすい ・デザインがシンプルで分かりやすい |
デメリット | ・「ベーシックな月次資金繰り表」を作るのが大変 ・過去実績について、会計ソフトと多重管理になる |
まとめ
企業にとって、お金は”血液”です。流れが止まると”死んで”しまいます。中小企業にとって、安定した”血流”を維持することは大きな課題です。”血流”について事前に知るために、資金繰り表は平常時から自社のために作成しておきたいですね。
社内で使う分には「日次資金繰り表」で十分です。貴社もぜひ作ってみてください!
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