有利に融資や借換えを受けるため必要なこと

有利な条件で資金調達をしたい場合、大切なのは「金融機関の担当者と密にコミュニケーションをとること」に尽きます。

融資のことはプロに聞くのが一番

我々が自力で融資に関する情報収集をしたところで、実際に融資商品や保証制度を使えるかどうかは分かりません。それがベストな選択かどうかも判断が付きません。

自治体、中小企業庁や金融庁、信用保証協会や金融機関のWEBサイトにもいくらかの情報は載っていますが、その内容は限定的なものだからです。「融資の現場」にいる銀行員の方しか知らない融資条件があったりします。

込み入った制度の場合は、銀行員の方もよく分かっていないケースがあります。保証協会や金融機関の本部(審査部)に問い合わせてみて、初めて判明する必要条件があったりするからです。

有利な条件で融資や借換えを受けたいならば、銀行の担当者の方に動いてもらって、情報収集してもらわねばなりません。

「御社はこの融資制度が使えるのでは? 調べてみます!!」と銀行の方から提案してもらうために、企業側がすべきことは、次のとおりです。

自社の財政状態を整理・把握する

渉外担当者と話をするために、会社のお金まわりの状況を答えられるようにしておきます。

★具体的には、

  • 「月次試算表」を毎月作成する
  • 「借入金一覧表」や「資金繰り表」を作成し、随時更新しておく

などをしておきたいです。

定期的に、金融機関へ財務情報を提供する

あなたの会社が「お金を貸したくなる企業かどうか?」を判断してもらうためには、積極的な情報提供が必要です。

★「試算表」や「借入金一覧表」を定期的に銀行に渡しましょう

  • 試算表は、最低でも3か月おきに提出しておきたいです。
  • 借入金一覧表は、頃合いを見計らってチラチラ出してみましょう。「借入一覧表があるんですけど見てもらえますか?」と話を振ればOKです。
  • (資金繰り表は、要求されてから提出すれば大丈夫です)

金融機関の担当者と定期的にコミュニケーションを取る

銀行の渉外担当者さんとの関係性も重要です。

融資の組み方には、メリットやデメリットがあります。踏み込んだ話やぶっちゃけ話になりがちなため、銀行のご担当者との信頼関係が必要になってきます。

★できれば毎月、渉外担当の方と顔を突き合わせて話をしたいです。

★試算表では伝わらない情報について、ぜひ話をしてください。
たとえば、

  • 業界全体の動向
  • 顧客/得意先や、仕入先の動向
  • 自社でどんな企業努力をしているか
  • 今後の展望・プラン
  • 試算表について補足したいこと(特別な事情など)


です。

経営に関するBadニュース と Goodニュースをバランスよく話せると◎です。
情報はある程度小出しに伝えておくと、のちのち相談に乗ってもらいやすいです。計画性や予見力があるとみなしてもらえるためです。(銀行は、突然の話を嫌がります)

最初は雑談レベルで構いません。大切なのは、コミュニケーションを取ろうという姿勢です。
肩ひじを張らなくて大丈夫です。銀行員から助け舟としての質問をもらえるはずです。

いい決算になるように努力する

そりゃそうだと言われそうですが、銀行が融資をしたくなるような「いい決算」にする努力も必要です。経営の努力が実るまでに年数が必要ですが、効果は抜群です。

いい決算書ができてくると、驚くほど銀行の融資姿勢が好転します。騙されたと思って、ぜひ頑張ってみてほしいです。

利益を積み上げ、財務基盤を強化する

→過剰な節税に走らない。自己資本を厚くする。

法人と経営者との関係を明確に区分・分離する

→会社の財布で経営者個人の支払いをしない、役員への貸付金をなくす、事業で利用している個人資産は法人所有への切替えを検討する、等

財務指標を見ながら経営努力をする

→具体的には
・収益性を上げる(営業利益率などを高める)
・無理のない借入金額にする(債務償還年数※を10年以内にする) ※借入の返済可能年数。(有利子負債−現預金)÷(税引後利益+減価償却費)
・資金繰りをよくする(月商の3か月分の現預金を持つ等)
など。

上記の逆のパターンを考えてみると、
銀行が融資したい会社/融資したくない会社の違いがよく分かると思います。

もしも、

  • 利益が少ない
  • 社長と会社のお財布がごちゃまぜ、会社のお金の使い込みがある
  • 利益率が低い
  • 過剰債務(返済できないほど負債がある)
  • 手元資金が手薄

……という会社には融資したくないですよね。円満に返済できるの?と心配になりますよね。

だったら、不安に思われる理由をなくせば「融資したい会社」になれますよね。

* * *

いい決算になると、国や自治体の金融支援制度(保証制度や補助金)も使いやすくなります。中小企業支援施策は、『頑張っている(いい)企業を応援する』というスタンスになっています。

「いい企業」かどうか判断する際は、当然ながら、まず決算書(財務指標)が判断材料になってきます。

先ほど取り上げた指標は、金融庁や経済産業省が掲げている指標を参考にしています。

経営者保証に関するガイドライン

ローカルベンチマーク

参考記事

この記事を書いた人

林 めぐみ
林 めぐみ
中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級

得意な業種:製造業・卸売業  得意なテーマ:経営全般・財務・IT

IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。

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