「コロナ借換保証」が始まりました
2023年1月10日から、いわゆる「ゼロゼロ融資」等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始されました。
コロナ借換保証は、他の保証付融資からの借り換えが可能な制度です。ゼロゼロ融資からの借り換えも、もちろん可能です。
「コロナ借換保証」の概要
※※※ 以下、2023年1月時点の情報です ※※※
「コロナ借換保証」とは、
- 売上または利益が5%減少など、一定の条件を満たす場合に、
- 「経営行動計画書」を作成して金融機関の伴走支援を受けることを条件として、
- 大幅に引き下げられた信用保証料(実質0.2%以下)で、
- 既存借入れの借り換えのための信用保証を受けられる
「国の制度」です。
信用保証協会では「伴走支援型特別保証」等の名前で案内されていると思います。
申込資格の概略
この制度を利用するためには、以下のいずれかを満たす必要があります。
- セーフティーネット保証4号の認定を受けている
(指定地域※で事業をおこなっており、前年同月比較で売上が20%以上減少)
※現在はすべての都道府県が指定されています。 - セーフティーネット保証5号の認定を受けている
(指定業種に該当し、前年同月比較で売上5%以上減少) - 最近1か月の売上高が5%以上減少している
(比較対象:前年同月と比較) - 最近1か月の売上高総利益率または売上高営業利益率が5%以上減少している
(比較対象:前年同月と比較、直近決算と比較、直近決算前期と比較)
保証内容
保証期間 (借換後の借入期間) | 最大10年 |
返済の据置期間 | 最大5年 |
保証限度額 (この保証で受けられる融資限度額) | 1億円 |
保証料率 | 実質0.2%以下 ※一般的な保証料率より大幅に低い |
金利 | 金融機関による |
「借り換え」と「リスケ」の違い
ところで、返済負担を軽くする手法として代表的なものが2つあります。
- 借り換え
- リスケ(条件変更、リスケジュール)
リスケ(条件変更、リスケジュール)とは
リスケは既存借入金の返済期間を延長(リスケジュール/返済条件を変更)する手法です。
ただし、リスケは最終手段です。当初の返済条件を守れず金融機関との約束を破ることになるため、貴社の信用格付けが下がります。リスケを解消するまで、原則として新たな融資を受けることはできなくなるため、設備投資の予定がある等、近いうちに融資が必要になりそうな場合は注意が必要です。
また、リスケをしたい借入れが保証付き借入れだった場合、追加保証料が必要になります。
さらに、リスケを認めてもらうために、今後の資金繰り予定表や事業計画が必要になることが多いです。
借り換え
一方、借り換えは既存借入金を新たな借入金に借り換える手法です。リスケとは異なり、「円満な一括返済と新たな借入れ」という扱いなので、基本的には金融機関からの信用格付けが下がりません。そのため、次に資金需要が発生した際にも融資を受けることも可能です。
「現在の借入残高と同じ金額に借り換える」ことを同額借換と言います。同額借換は比較的、金融機関に受け入れてもらえる可能性が高いです。ある程度返済が進んでいる場合や、企業の財政状態や今後の見通しによっては融資額を増額(増額融資)をしてもらえる可能性もあります。
返済負担が重いときは、
- 借り換えできないか金融機関に相談(同じ銀行の中での借り換えや、他の銀行への借り換え)
- 借り換えが受け入れてもらえなかった場合は、リスケを検討する
という順番で考えると良いでしょう。
「コロナ借換保証」で既存借入金を借り換える
一般的な保証付き融資は、借換可能な保証商品が限られています。ブログをお読みの読者さんの中にも、銀行員から「この融資は制度上、借り換えできないんですよ~」と言われたことがある方がいるかもしれませんね。
それに対し、「コロナ借換保証」は様々な保証付き融資から借り換えることが可能です。ゼロゼロ融資を始めとして、その他保証付き融資も広く借り換えることができます。
借換後の借入期間や据置期間を長く取ることができ、保証料も低いので、資金繰り改善を図るにはもってこいの制度に思えます。
ところが、この制度に安易に飛びついてはいけないケースがありました。
次回は、その落とし穴についてお話しします。
この記事を書いた人
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中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級
得意な業種:製造業・卸売業 得意なテーマ:経営全般・財務・IT
IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。
- 2023年3月10日経営コラム2年先の資金繰りが見えていますか?
- 2023年2月14日経営コラム有利に融資や借換えを受けるため必要なこと
- 2023年1月23日経営コラム「コロナ借換保証」で注意が必要なケース
- 2023年1月23日お知らせ「コロナ借換保証」が始まりました
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