2年先の資金繰りが見えていますか?
「資金繰り」とは、資金をやりくりすることです。
資金ショートのおそれがある場合は、現預金が足りるように対策を講じますよね。
資金繰り対策とは
財務の観点からは、借入れによる資金調達や、返済額の減額(リスケ)などの対策があります。
事業の観点からは、経費節減、在庫圧縮、代金回収の早期化などが考えられます。原価低減や売上拡大も大切です。
資金の見通しを立てるには「資金繰り表」が役立ちます。資金繰り表に決まった書式はありませんが、検索すればたくさんの例が出てきます。
「資金繰り表」の効果
資金繰り表は企業の日々の支払いを円滑にするだけでなく、企業を末永く発展させるためにも役立ちます。
今は変化の激しい時代です。社会のニーズ・競合企業の提供価値が変化していく中で、自社だけが停滞していたら、実質的には後退・弱体化していることになります。企業が生き残るためには、戦略を練り上げたうえで大きな支出(投資)を覚悟しなければならない局面がおとずれるのです。
ただし、単に腹をくくればいいというものではありません。企業はリスクを回避しながら、投資による成長を目指す必要があります。
資金繰り表を作成して将来を見通すことにより、資金ショートのリスクを把握し、「攻めの経営」に自信や余裕を持てるようになります。
「守りの経営」の視点でも資金繰り表は重要です。もしも経営が下り坂になり資金的に余裕がなくなると、経営の選択肢が減っていき、状況が悪化し続けるスパイラルに陥りがちです。そうなると這い上がる力まで無くなりますから、ある程度は余力を残した状態で、早め早めに経営改善に取り組むべきです。
2~5年先まで資金繰り表を作る
攻め・守りの揃った経営を行うためには、少なくとも資金繰り表を2年先まで、可能であれば5年先まで作成することをおすすめしています。
しかし、このように言うと、
「そんなに先まで予測できないよ」
「作るのに手間がかかりすぎる」
「資金繰り表は難しそう」
という反応をいただくことがあります。
もちろん、数年先の資金状況を完璧に予測することはできません。ある程度は手間もかかります。しかし全く管理を行わないことは、経営にとってリスクです。
資金繰り表があれば、たとえそれがつたないものであっても、資金不足のタイミングや金額規模をある程度推測できるため、経営の判断材料にできます。
資金繰り表には決まった書式がなく、自由に作成することができます。目的に応じて、使いやすい形式を選んで構いません。
例)
●銀行口座の残高管理をしたい場合
→通帳形式(または「日繰り表」)が適しています
例:https://asunote-keiei.jp/column/shikinguri-hyo/#i-3
●収支を見える化したい場合、
季節変動を把握したい場合、
投資計画や資金調達を検討したい場合など
→「月次資金繰り表」が適しています
例:https://asunote-keiei.jp/column/shikinguri-hyo/#i
資金繰り表には作成義務も規定もありませんので、貴社がかけられる労力や目的に応じて、自由な書式で作ってください。
資金繰り表を銀行等に提出する際は、指定された書式に合わせて、自社で作成している表から情報を拾って集計すれば済みます。
資金繰り表は Excel で作成する方が多いと思いますが、さらに効率化を図りたい場合は、クラウドサービスを活用しましょう。
いい経営には、資金繰り表が必要
様々な企業様と出会う中で、
「いい経営をするためには、当たり前のことを当たり前にやっていくことが必要だなあ」と感じます。
その中には、資金繰り管理も含まれています。
事業の新たな取り組みは、すぐに実るものではありません。だからこそ、成果が出るまで耐えられる財務基盤と、スピード感のある投資が求められます。資金の見通しが立つことで、自信を持って経営できるようになります。
また、経営状況が悪化した際にはそれをいち早く察知し、対策するためにも、資金繰り表は必要不可欠です。
あなたも今すぐ、資金繰り表の作成に取り掛かってみませんか?
まずは半年先まで見通すところから。ぜひチャレンジしてみてください。
この記事を書いた人
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中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級
得意な業種:製造業・卸売業 得意なテーマ:経営全般・財務・IT
IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。
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