「弥生販売」を段階的に導入する方法

「弥生販売」は、業務効率化や経営力向上に役立つ、素晴らしい販売管理ソフトです。

一方で、「出来ることが多すぎて活用しきれない」という声もよく聞きます。

だからといって、活用できないから使わないのでは、いつまでたっても「弥生販売」を活用することはできません。

それでは、どうすればいいのでしょうか?

答えは、
「一気に使いこなせないのであれば、利用範囲を段階的に広げていけばいい」です。

「弥生販売」を段階的に導入する手順は、次のとおりです。

  • 売上管理をする(「売上」カテゴリ画面)
  • 購買管理をする(「仕入」カテゴリ画面)
  • 在庫管理をする(「在庫」カテゴリ画面)
  • もっと便利に使う(倉庫別在庫や適正在庫の管理、売上集計の工夫など)

「弥生販売」を導入するときに大切なこと

段階的に導入するまえに、知っておいてほしいことがあります。

「弥生販売」は便利なシステムですが、そのポテンシャルを発揮させるためには注意点があります。

導入する「目的」を明確化し、従業員に周知する

まず、「何のために弥生販売を導入したいのか」という目的を明確にすることが大切です。

そして、その目的を従業員に周知・説明しましょう

もし、「導入する目的(ねらい)」が周知されていなければ、どうなるでしょうか? 

各従業員は、異なるねらい(動機・思惑)で弥生販売を使うことになりますね。各自のねらいがバラバラであれば、各自が好き勝手にシステムを使うでしょう。すると、データ入力の漏れや偏りが生まれたり、運用方針で衝突するかもしれません。

また、目的が分からなければ、そもそも従業員が「弥生販売」を使ってくれないこともあるでしょう。

さらに、使ってくれないだけならまだしも、「よく分からないITソフトが導入された」と従業員の不信や不満を招くことにもなりかねません。

「弥生販売を導入する目的」は、会社によって様々だと思います。

・帳票発行を効率化したい
・販売単価の管理をしたい
・納期管理をしたい
・在庫を削減したい
・情報共有を促進して、属人化を解消したい
・過去の売上データを活用して、経営判断に活かしたい
・売掛金の管理をして、回収漏れをなくしたい
・スピーディーに支払額の把握をして、資金繰り管理を楽にしたい

など、何でも構いません。

まずは、弥生販売を使って、どうなりたいのかを書き出してみてください。そして、その目的を従業員全員で共有しましょう

「導入計画」を作る

「いつまでに」「どの段階までできるようになりたいか」について、ざっくりで構わないので計画表を作りましょう

そして、3か月、半年、1年などの節目に計画を振り返り、実績と進捗を確認します。

導入段階は、この記事で説明した4段階を参考にしてみてくださいね。

  1. 売上管理をする
  2. 購買管理をする
  3. 在庫管理をする
  4. もっと便利に使う

「運用責任者」を任命する

かならず、弥生販売の運用責任者を任命しましょう。

販売管理システムは、カバーする業務範囲が広いです。業務とシステムをスムーズに連携するためには、運用責任者を置いて全体を統括する必要があります。

といっても難しいことはありませんのでご安心ください。

運用責任者は、

  • 目標とする利用段階まで進められるよう、作業分担や、具体的な導入スケジュールを決める
  • 台帳や伝票の入力ルールや、締日等の定例スケジュールをまとめる。
    • たとえば、商品コードの採番ルールなど
  • バックアップ等のシステム管理をする

などをするといいでしょう。

運用の際は、最初に決めた「弥生販売を導入する目的」に則っているか、常に確認するようにしてくださいね。

それでは、弥生販売を導入する方法を見てみましょう。

「弥生販売」を段階的に導入する手順

  1. 売上管理をする(「売上」カテゴリ画面)

まずは、売上に関するデータをすべて入力できるようになりましょう。

【目標】
☑ 「得意先台帳」を登録する。
☑ 「商品台帳」を登録する。
☑ 可能であれば「受注伝票」を入力する。
☑ 「売上伝票」を入力する
☑ 「入金伝票」を入力する。
☑ 「請求書」を発行できるようになる。

請求書を発行できるようになったら、第1段階クリアです。ここまではクリアできている会社が多いのではないでしょうか。

納期まで時間がかかる業種の場合は、受注伝票も入力したいところです。受注の納期管理がグッと楽になるはずです。

  1. 購買管理をする(「仕入」カテゴリ画面)

次は、購買(仕入)に関するデータをすべて入力していきましょう。

【目標】
☑ 「仕入先台帳」を登録する。
☑ 可能であれば「発注伝票」を入力する。
☑ 「仕入伝票」を入力する。
☑ 「出金伝票」を入力する。
☑ 「支払書」(社内で検算した仕入請求書)を発行できるようになる。

支払書を発行できるようになったら、第2段階クリアです。

ここまで入力できると、発注一覧表や仕入履歴を活用できるようになり、納期管理や原価管理に役立てられるようになります。

この段階では、商品の在庫数がまだズレているかもしれませんが、無視して構いません。
(どうしても気になるようなら、第2段階のうちは、商品台帳の設定で「在庫管理を行わない」にしてください)

  1. 在庫管理をする(「在庫」カテゴリ画面)

ここまでで「社外からの入庫と出庫」の入力ができるようになりました。
仕上げとして、「その他の入出庫」を入力していきましょう。

【目標】
☑ 構成部品や材料を「商品台帳」に登録する。
☑ 「構成部品台帳」に部品表を登録する。
☑ 「生産伝票」(生産や組み立てによる消費)を入力する。
☑ 「出庫伝票」(それ以外の入出庫や、汚損・廃棄など)を入力する。

「弥生販売上の在庫数」と「現実の在庫数」が一致するようになったら、第3段階クリアです。

構成品は、一括して登録作業ができるといいですが、部品表を作っていない場合は難しいこともあるでしょう。その場合は、商品や材料の実在庫数をこまめに確認し、都度都度、構成品登録や伝票入力をおこなっていきましょう。

地道な取り組みとなりますが、作業はいつか必ず終わります。頑張りましょう。

  1. もっと便利に使う

ここまで管理できるようになったら、もう一段ステップアップを目指してみましょう。

【目標】

「倉庫台帳」に倉庫を登録し、倉庫間の在庫移動を入力する。
 → 倉庫別の在庫が管理できるようになる。在庫を探し回ったり商品を紛失したりすることを防げます。

「商品台帳」に在庫適正数(発注が必要なボーダーライン)を登録する。
 →「在庫過不足一覧表」によって、在庫不足商品をワンクリックで出力できるようになる。発注漏れが減って欠品が減り、機会損失を防げるようになります。

「得意先台帳」の「分類1〜3」を活用する
 → 事業別や顧客分類別の売上高をワンクリックで集計できるようになる。スピーディな分析が可能となり、意思決定に役立ちます。

などなど。

ここまで管理できるようになると、受発注や在庫管理のミスを防げるようなってきます。また、勘ではなく数値に基づいた経営判断ができるようになっていきます。

まとめ

上記のとおり、「弥生販売」は、段階的に導入・運用することが出来ます。

導入段階が進めば、できることが増え、弥生販売を活用する目的もどんどんステップアップしていくはずです。

貴社も弥生販売を使いこなして、経営力アップを図りましょう!

この記事を書いた人

林 めぐみ
林 めぐみ
中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級

得意な業種:製造業・卸売業  得意なテーマ:経営全般・財務・IT

IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。

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