請求書発行だけじゃもったいない! 弥生販売を活用しよう
こんにちは! あすのて経営の林めぐみです。
製造業・卸売業の「弥生販売ユーザーさん」にささぐ
私は14年前、製造業時代に「弥生販売プロフェッショナル」を自社に導入しました。
「弥生販売」は、できることが本当に多く、業務の効率化や経営力の向上に役立ってくれました。今は私の手を離れましたが、現在進行形で活躍してくれています。
「弥生販売」は、きちんと活用してあげれば、お値段の何十倍もの働きをしてくれるソフトだと思います。
もし、すでに貴社が「弥生販売」を導入しているのでしたら、
もっと便利に使って欲しい!
そして経営に役立てて欲しい!
そういう思いで、弥生販売のいちユーザーとして、この記事を書いています。
目次
貴社では、どのように請求書を発行されていますか?
手書きでしょうか。あるいは、請求書発行ソフトで印刷しているかもしれませんね。
繰り返し受注する商品がある業種では、販売管理ソフトを利用している会社も多いかと思います。
販売管理ソフトの中でも、圧倒的なシェアを誇るのが「弥生販売」ですよね。
弥生販売のメリットとデメリット
「弥生販売」の最大のメリットは、機能が充実しているのに価格がお手頃な点です。
同等機能を持つ、ほかの販売管理ソフトだと、年間コストが150,000~300,000円程度かかります。少し機能が充実しているだけで100万円や1000万円以上かかることもあります。
「弥生販売」の場合は、「プロフェッショナル」に「あんしん保守サポート」をつけても、税抜き80,000~119,500円で購入できます。(2021年3月現在)
「弥生販売」のデメリットは、3ユーザー以上になると急に高価になる点と、弥生販売にはクラウド製品がない点です。
しかし小規模企業では3ユーザー以上で操作することは少なく、少人数運営であるがゆえにクラウド製品の恩恵は得にくいため、影響は少ないでしょう。
もし将来的に3ユーザー以上で利用したくなったとしても、ネットワーク製品を検討するか他社製製品に乗り換えればいいだけです。
これまでITシステムを使ったことがない会社が、いきなり高価なシステムを導入しても、システム管理の経験がないと十分に活用することはできません。
システムによる管理に慣れるためには、安価で高機能な「弥生販売」は最適です。
「弥生販売」を活用するメリット
弥生販売を活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
大きく4つのメリットがあると思います。
- 帳票発行の効率化
これは言わずもがなですね。伝票や請求書がスピーディに発行できます。 - 属人化の解消(情報共有の促進・過去データの活用)
システム上で受発注情報や在庫情報を管理するため、「〇〇さんに聞かないと分からない」という案件が減ります。
また、取引の記録が残るため、値付けや納期、発注数などを勘に頼らずに判断できるようになります。 - 資金繰り管理の向上
回収予定表や支払予定表を出力できるため、資金繰り管理を楽にできるようになります。 - 経営の「見える化」
売上推移や在庫順位などをワンクリックで集計できるため、スピーディな経営判断が可能になります。
「弥生販売」で出来ること
■弥生販売の機能一覧(公式サイト)
■弥生販売の印刷帳票一覧(公式サイト)
詳しくは公式サイトを見てください、と言いたいところですが……。
「弥生販売」には、公式サイトには記載されていない機能や、ちょっとした工夫で便利に使える機能もあります。
売上関連
- 過去の売上情報の検索
注文番号や品番はもちろん、金額や時期、備考欄で条件を絞って検索することができます。
お客様からの問い合わせ電話で「去年の5月に注文した製品」と言われても、その場でサッと該当注文を調べ、即答することができました。
自分以外の担当者の案件も調べることができるので、社内での「伝言ゲーム」がかなり減りますよ。
- 納期順、または受注日順の「受注明細表」表示
製造業や卸売業では、納期管理が重要となってきますよね。
納期順だけではなく、受注日順で「受注明細表」を見ることができます。
- 見積書、注文請書、納品書、請求書の発行
これは説明不要ですよね。
PDFファイルで出力も可能なので、メールでの取引に役立っています。
- 出荷案内書、商品ラベルの印刷
当社では帳票レイアウトを自作して、弥生販売からラベルを印刷していました。
- 得意先別 商品価格
実は標準機能で、得意先別の単価を管理できます。
- 商品台帳 単価一括変更
単価変更の一括変更はもちろん、適用日を予約して登録することができます。
仕入・在庫関連
※弥生販売プロフェッショナルから利用可能
- 在庫順位表
在庫数や在庫金額の順位表(ランキング形式)をワンクリックで集計することができます。
在庫金額順位表を見れば、どの品目が重要か、一目瞭然となります。重点的に管理すべき材料・部品・商品を発見できますね。
- 予定在庫一覧表
商品がいつ入荷して、いつ納入予定かを時系列で表示してくれる機能です。在庫が足りるかどうかがひと目で分かります。
「弥生販売 18」から搭載された機能で、重宝します。
- 倉庫別在庫管理
倉庫ごとの在庫数を管理できます。
きちんと伝票入力さえしておけば、どこに在庫があるのか確認できる、という安心感は大きいです。
回収・支払関連
- 売掛金の消込管理 ※弥生販売プロフェッショナルが必要
弥生販売プロフェッショナル16から追加された機能です。
請求書ごとに売掛金の消込管理ができます。振込手数料の差額計算がやりやすいので重宝しますよ。
- 売上代金の回収予定表、仕入代金の支払予定表
何日に、いくらの入金・出金があるのかがひと目で分かります。
Excelファイルで出力して資金繰り表に取り込んだりして、資金管理に役立てられます。
特に「支払予定表」は重宝します。毎日の仕入伝票さえ入力しておけば、先方からの請求書がなくても支払額を推測できるのがいいですね。
- 受取手形一覧表
受取手形がいつ満期になるかを一覧にしてくれます。Excelでも管理できますが、地味に便利です。
集計・分析
※ほとんどの機能が、弥生販売プロフェッショナルから利用可能
- 売上明細表や、月次売上推移表
日別や月別、取引先別・商品別・担当者別などで金額をワンクリックで集計可能です。スピーディーに経営判断できるようになります。
金融機関に売上推移表を求められたときなども、印刷するだけなので、すぐに提出できます。
- 月次の入出庫明細表
月次の入出庫数量を集計できます。
ご存知かもしれませんが、毎月の出庫数が分かると
・需要の観点での適切な「発注量(生産量)」
・「発注タイミング」
などを計算できるようになります。
計算方法が気になる人は、「定期発注方式」「定量発注方式」で検索してみてください。
Excelを利用すれば、弥生販売から出力したデータを使って自動計算できますよ。
業務俯瞰図だと
下図のようになります。
「弥生販売」ではやりにくいこと、できないこと
- 弥生販売を 社外から操作(アクセス)すること
「弥生販売」単体では、社外から操作をすることはできません。
(別途VPNを設定する等の対応が必要となります)
- 商談管理
見積書の発行はできます。が、お客様からの問い合わせや営業管理など「お客様との商談全般」の管理はしづらいです。
- 見積依頼の管理
商材や材料の見積をとった場合、「どこに見積依頼をしたのか」「何社から見積書をもらったのか」などの管理はしづらいです。
- 原価管理
「原価の合計額」は登録できます。が、「原価の内訳」の管理はしづらいです。
- 生産管理
構成部品台帳があるので、部品表(BOM:製品を組み立てるときの部品の一覧)は管理できます。また、どの材料をどれだけ消費したかを入力することも出来ます。
しかし、生産計画や進捗管理、品質管理などはできません。
- 製造ロット管理やトレーサビリティ
弥生販売に、製造ロットの管理機能はありません。
(摘要欄にロットNoを記入する等の工夫で、管理できなくもないですが……。運用ルールが必要になります)
- 取引先の担当者管理
取引先の担当者は一人しか登録できません。取引先に複数のご担当者がいる場合は、別途管理が必要になります。
また、前任者の管理もできません。
解決策については、別の記事で書ければと思います。
余談:「クラウド請求書発行システム」ってどうなの?
昨今よく聞く「クラウド請求書システム」について、気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論としては、
製造業や卸売業など「受発注管理や在庫管理が必要な業種」の場合は、クラウド請求書発行システムはおすすめしづらいです。
つまり、販売管理システムをおすすめしたいです。
なぜなら、「クラウド請求書システム」と銘打っているものは、会計や債権管理などの「バックオフィス作業」を中心に考えていることが多いためです。
請求書システムは、会計システムとの連携はしやすいでしょう。
しかし販売管理・在庫管理・生産管理などの「フロント業務」の管理にはほとんど対応していません。クラウド環境で使えることは便利かもしれませんが、販売管理や在庫管理とすり合わせるための作業が発生してしまい、結局手間が増えてしまいます。
もし、どうしてもクラウド環境を使いたい場合は、クラウド対応している販売管理システム をご検討なさることをオススメしたいです。
それは、貴社が成長して「販売管理ソフトをステップアップする時期が来た」、ということだと思います。
まとめ
「弥生販売」を活用すると、いろんないいことがあると、少しでも伝わったでしょうか?
「弥生販売」には基本的な機能が備わっています。販売管理や在庫管理のファーストステップとして最適です。
言い換えると、弥生販売を使いこなせたら次のシステムへステップアップできるということです。また、弥生販売を使えなければどんなに良いシステムでも持ち腐れるということです。
紙の伝票も慣れが必要なように、ITにも慣れが必要です。
少しずつ活用の幅を広げていけるといいですね。
弥生販売の導入方法や、機能の使い方については、今後も書いていきますね。
この記事を書いた人
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中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級
得意な業種:製造業・卸売業 得意なテーマ:経営全般・財務・IT
IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。
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