「Will-Can-Need」で事業戦略を考える
売上を伸ばしたい。
そう思って焦って多方面に事業を広げても、バタバタ忙しくなるだけで儲からなかった経験はありませんか。下手をすると主力事業が疎かになったりしませんでしたか。
経営資源が限られる中小企業の場合、自社だからこそ展開できる事業戦略に気がつき、そこへむけて注力していく必要があります。
そう言われても、なんだか難しいですよね。どのように考えたらいいのか、悩んでしまうのではないでしょうか。
そんなあなたに、自社が取り組むべき事業を見つけるための枠組みをご紹介します。
目次
自己分析のフレームワーク「Will-Can-Need」
「Will-Can-Need」という、自己分析のフレームワークを聞いたことはありますか?
- Will:やりたいこと
- Can:できること
- Need:求められること
この3つが重なるところが理想のキャリアである、というものです。
実は、この考え方は、事業戦略を検討する際にも応用できるって知っていましたか?
事業戦略に「Will-Can-Need」を取り入れる
事業戦略においては、
自社の「強み:できること」を活かして、
市場・顧客など「需要:求められること」を捉える必要があります。
これは戦略を考える上での鉄則です。
ここに人の心である「理念:やりたいこと」が重なるとき、さらに強力な戦略となります。
人が関わることだから、理念がものを言う
「理念」というと堅苦しく感じる方は、「方針や目的」と捉えていただければ充分です。
事業は人間が行うことですよね。また、お客様も人間です。
人間というのは、不合理的なものです。必要なことやできることだけしていると辛くなってくることがあります。強い想いを持っていたり、楽しんで取り組めるからこそ継続できるんです。
中小企業においては、関わる方一人ひとりの存在は大きなものです。従業員やお客様、利害関係者から、理念に共感してもらえると大きな力になります。
従業員さんから共感を得られれば、皆が一つの想いに向かって活動するので組織に一体感が出てきます。理念に従って具体的な行動を起こせば、一貫性が出てムダも減ります。社外へ理念を情報発信すれば、共感してくれる人を採用することができ、意欲の向上や定着率の向上にも繋がりますよね。
お客様についても、もし同じ条件の競合他社がいたとき、理念への共感が決定打になることだって考えられます。
「Can:強み」「Need:需要」に加えて、「Will:理念にかなうこと」。
この3つが重なることをぜひ探してみましょう。
探し方は簡単です。
付箋をたくさん用意してください。
そしてそれぞれの枠組みに対して、思いあたることを書き、どんどん貼り付けていきましょう。
ささいなことでも結構です。たくさん書き出していきます。
- 「Will」 …… 理念:やりたいこと(使命だと考えること、大切にしていること、成し遂げたいこと、従業員が情熱を傾けられることなど)
- 「Can」 …… 強み:できること(得意なこと、知識、技術、スキル、ノウハウ、人脈、体制があることなど)
- 「Need] …… 需要:求められること(社会・市場・お客様の需要、お困りごと、望み、課題、問題になっていることなど)
Will:理念
理念は、本心を掲げることが重要です。よそ様に見せられない内容だと思ったら、見せなければいいだけのことです。理念は事業に命を吹き込み、また事業の判断基準となるものですから、正直に言語化してみてくださいね。
泥くさくて結構、キラキラしていなくても全然OK。奇をてらう必要はありませんが、誰でも言いそうな言葉になったときは、変に格好をつけていないか胸に手を当てて振り返ってみてください。どうぞ、正直に。
社長の夢や成し遂げたいこと、これまで大切にしてきたこと、使命だと感じていること、従業員さんとともに情熱を持って取り組めることなど、「貴社ならではの想い」を大きく描いてみてください。
Can:強み
強みは、まずは出来ることを羅列してみてください。自信があることや、お客様によろこんでいただけたこともいいですね。あなたが当たり前だと思っていることもぜひ書いてみてください。小さなことでも集まれば、思わぬ事業のタネになるかもしれませんよ。
その中から、「お客様がわざわざ自社を選ぶような要因」や、「独自性の高いこと」が見つかるといいですね。
Need:需要
需要は、既存のお客様から聞こえてくる声、市場全体の動向、大手企業や近隣の同業者が対応しないニーズ、他業界では対応されているのに自業界では送れていること、などを思いつく限り書き出してみてください。
この機会に、
- 業界誌や日経新聞・日経MJなどを読み込む
- 競合他社のことを調べる
- 業界の統計を調べてみる
など、業界情報を調べてみるのもいいですね。
そうしてたくさん書き出して貼り付けてみて、眺めてみてください。
すべての条件を満たす事業が見えてくるはずです。
それでも事業戦略を見つけられないときは
信頼のおける相談相手はいますか? その方に付箋を見せて相談してみてください。他人の目を通して、自分が気がついていない魅力を教えてもらいましょう。自分のことは、自分では意外と気がついていないものです。
相談相手がいないという方は、地域のよろず支援拠点や、中小企業診断士などにお気軽にご相談ください。
貴社にぴったりの事業戦略が見つかりますように。
この記事を書いた人
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中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級
得意な業種:製造業・卸売業 得意なテーマ:経営全般・財務・IT
IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。
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