節税効果だけじゃありません。倒産防止共済と小規模企業共済のメリット

貴社では「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」に加入されていますか?
また、役員の方は「小規模企業共済」に加入されていますでしょうか?
ご支援先の社長さんに尋ねてみると、
「倒産防止共済 には入ってるよ!」
「小規模企業共済 は掛けています!」
とお答えいただけることが多いのですが、意外と両方に加入されていることが少ないのです。
なんともったいない!
今日は、これら2つの共済制度についてお話します。
目次
「中小企業倒産防止共済制度」とは
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、中小機構が運営している共済制度です。
取引先が倒産した際に、必要となる事業資金を速やかに借入れることができる制度です。具体的には、無担保・無保証人・無利子で、被害額か掛金の10倍のいずれか少ないほうの金額を共済金としてすぐに借入れすることができます。
加入できるのは、継続して1年以上事業を行っている中小企業者(法人または個人事業主等)です。
掛金は、毎月5,000円~200,000円までの範囲で、5,000円単位で選択できます。また、掛金総額が800万円に達するまで積み立てることができます
「小規模企業共済制度」とは
小規模企業共済制度も、中小機構が運営しています。
小規模企業の経営者や役員が、自分自身の退職金等を積み立てるための制度です。20年以上加入することで、掛けた金額よりも多くの共済金が返ってきます。満期や満額はなく、退職・廃業時に共済金を受け取り可能です。受け取りの際は、退職金や公的年金と同じような扱いになり、所得控除上のメリットがあります。
加入できるのは、以下の小規模事業(個人事業主または会社等)の役員です。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業など | 20人以下 |
卸売業・小売業、サービス業など | 5人以下 |
掛金月額は、1,000円~70,000円の範囲で、500円単位で選択できます。
2つの制度に共通するメリット
経営セーフティ共済、小規模企業共済 に共通するメリットは以下のとおりです。
税制メリットがある
経営セーフティ共済の場合は、掛金の全額を損金算入できます(事業の経費にできる)。
また、小規模企業共済の場合は、掛金の全額を所得控除することができます(個人の所得税計算のときに基礎となる所得から控除してよい。所得控除は、役員個人の年末調整や確定申告で行います)
事業資金等を借りられる
どちらの制度も、掛金の納付期間等に応じた貸付限度額の範囲内で貸付を受けることができます。
- 【経営セーフティ共済】一時貸付金について
- 【小規模企業共済】貸付制度について
解約時に一定額の掛金が戻ってくる
どちらの共済も、12か月以上掛金を納付していれば、一定額の掛金が解約手当金として戻ってきます。事情があって共済を解約することになったとしても、無駄になりません。
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の解約手当金
- 小規模企業共済の解約手当金について
「共済制度を利用すると、節税しながら貯金ができる」と考えていただくと分かりやすいのではないでしょうか?
共済制度のメリットはこれだけではありません。波及効果もあります。
経営セーフティ共済(倒産防止共済)の波及効果
金融機関のプラス評価につながる
経営セーフティ共済(倒産防止共済)を掛けていると、いざ得意先が倒産したときに、自社が連鎖倒産しにくいということですよね。
これは金融機関から見たときにプラス評価となる要素です。特に、手形割引をしている場合は被害が大きくなりやすいため、それに対するリスクヘッジとして評価されます。(と、金融機関の渉外担当者から言われたことがあります)
共済に加入すると、毎年「掛金納付状況 兼 領収書」という書類が送られてきますので、コピーを取っておきましょう。金融機関へ試算表を渡すときは、掛金納付状況のコピーも合わせて提出するといいですよ。
まとめ
今回は、経営セーフティ共済(倒産防止共済)や小規模共済に加入するメリットをお伝えしました。
- 税制メリット
- 事業資金を借りられる
- 解約時に一定額の掛金が戻ってくる
だけではなく、
- 金融機関からのプラス評価になることがある
というメリットもあります。
まだ加入していない事業者さんは、資金に少しでも余裕があるなら検討してみる価値がありますよ。
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