経営で困ったら、まず「公助」を頼ってほしい

「自助・共助・公助」という言葉をご存じですか?

災害への備え(防災対策)を考えるときの考え方です。

・自助:まずは自分で備えたりやってみたりする。
・共助:次に家族、地域でお互いに助け合う。
・公助:そのうえで政府や自治体がセーフティネットで守る。

ということですね。
2020年に菅元総理が政策理念として述べて物議を醸したので、覚えている方がいるかもしれません。

注意していただきたいのは、この考え方は、
あくまでも「個人」の「災害への備え」についての話だという点です。

経営のお困りごとについて考える際は、順番が逆です

・公助:まず公的な経営支援を受ける
・共助:次に、企業同士がお互いに助けあう(中小企業家同友会や自主勉強会等)
・自助:最後に、具体的な取り組みを自社で試行錯誤してみる

の順番で取り組んでいただきたいな、と私は考えています。

国の経営支援の一覧

国の経営支援というと「税制優遇」や「金融支援」などのお金の支援をイメージされるかもしれません。でも、政府の経営支援はそれだけじゃないんです。

たとえば、中小企業庁のWEBサイトには、次のカテゴリーが掲載されています。

創業・ベンチャー支援 / 起業家教育支援 / 経営革新支援 / 新連携支援 / 再生支援 / 雇用・人材支援 / 海外展開支援 / 取引・官公需支援 / 経営安定支援・BCP / 共済制度 / 小規模企業支援 / ものづくり(サービス含む)中小企業支援 / 技術革新・IT化支援・省エネ対策 / 経営支援体制 / 経営強化法による支援 / 先端設備等導入制度による支援

こんなにあると何が何やら・・・ですね!(笑)

経営者としては、ダイレクトに経営をサポートしてくれる制度(資金調達、販路開拓、人材確保など)が気になると思うのですが、まず注目していただきたいのは「経営支援体制」です。

公的機関の「無料の経営相談」や「専門家派遣」を活用しよう

国は、中小企業のために経営支援体制を整備してくれています。具体的には、「よろず支援拠点」や「商工会議所・商工会」などです。

そこでは、

  • 経営相談
  • 専門家派遣(経営の各分野の専門家を、3回まで企業へ派遣)

などの経営相談制度を無料で利用することができます。

経営でお困りごとがあるときは、まず、これら支援機関の経営相談制度を活用してみてほしいんです。

公的機関の敷居が高いと感じられる場合は、金融機関や信用保証協会でも無料の経営相談を受け付けているケースがあります。まずはそちらに相談してみてもいいでしょう。

なぜ、経営相談に関する制度を活用すべきかというと・・・

経営相談で貴社の経営課題が明らかになれば効果的なアクションが分かるようになるからです。

逆に言えば、自社の経営課題が見えていない状態であれこれ情報を仕入れてしまうと、焦って「やってはいけないアクション」をとってしまう恐れがあります。早期に経営相談すれば軽症で済んだはずなのに、我流で治そうとした結果、話がこじれてしまうのです。

そのため、公助に頼って経営課題を明らかにし、共助や自助による実践はその後、という順番をおすすめしたいです。

もし貴社が「何から手を付けたらいいのか分からない」「何をしたらいいのか分からない」という状態のまま、アクションを起こそうとしているなら要注意です。

相談を通じて、自社の「経営課題」を明らかにする

経営上、次にとるべきアクションは、「自社をとりまく経営環境」や、「自社の経営状態」によって違います。自社にあった方法でなければ、他社でうまく行っている対策を取り入れてもお金や時間を浪費するだけかもしれません。

手当たり次第に行動を起こしてちょっと損をした、くらいで済めばいいのですが、焦って行動したために致命的な失敗をして、経営危機に陥ってしまうことだってあります。例えば、焦って大きな設備投資をして借入過多になってしまうとか、人事制度や配置を変更したらノウハウを持っていた従業員が辞めてしまったとか、新規顧客開拓をしたらバタバタ忙しいだけで利益が上がらなくなってしまった・・・などです。

そんな「自爆」をしないためにも、まずは経営の専門家に相談してほしい、と願っています。

といっても、最初から高額の報酬を支払って経営コンサルタントを雇う必要はありません。
国が無料で経営相談を受け付けているのですから、どんどん活用したらいいんですよ〜。

(有料のコンサルタントである私が、こんなことを言うのはおかしな話に聞こえるかもしれませんね。実は私も、公的機関の経営相談員として中小企業のご支援に携わることがあるんです。使える制度はどんどん活用していただいて、より多くの中小企業の成長発展に繋がったらいいな、と願っています。)

まとめ

まずは、公的機関でやっている経営相談を どんどん活用しましょう

そして自社の「経営課題」を明らかにしたいですまずはそこからです!

自社の経営課題が明らかになれば、おのずと何をすべきか(次に起こすべきアクション)が見えてきます。

具体的なアクションが決まれば、経営者仲間からどんな情報を仕入れたいかも明確になりますし、国の経営支援施策も探しやすくなります。いろんな方々から助けを得て、経営を良くするアクションをどんどん実行していく、という好循環を起こせるようになりますよ。

この記事を書いた人

林 めぐみ
林 めぐみ
中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級

得意な業種:製造業・卸売業  得意なテーマ:経営全般・財務・IT

IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。

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