小規模企業に役立つ経営指標(収益性について)
前回の記事はこちら:
はじめに
経営指標はたくさんありますが、「この指標の数値が良ければ万事OK!」というものはありません。
財務諸表を様々な指標でチェックすることで、企業の健康状態が総合的に分かります。
- 短期的な安全性:手元資金は十分にあるか
- 長期的な安全性:無理な資金調達をしていないか
- 収益性:儲かっているか ←今回はココ!
- 生産性:従業員の給料を払えるだけ稼いでいるか
- 成長性:業績が伸びているか
- 効率性:資産(資本)を効率的に活用しているか
収益性分析
財務分析を行う場合、気になるのは「自社は儲かっているのか?」ということではないでしょうか。
儲かっているかどうか(収益性)は、利益率を見れば分かります。
まずは損益計算書(P/L)を見てみましょう。
収益性の指標のうち、最も計算しておきたいのは、売上高経常利益率です。単に経常利益率、とも言います。一般的には、5%以上がめやすとされます。
売上高経常利益率[%] = 経常利益 ÷ 売上高
売上高経常利益率は、通常の事業活動の収益性を確認できる経営指標です。営業利益から本業以外の損益(受取利息や支払利益等)を差し引いた後の利益率を表します。
売上高経常利益率は収益性分析としてポピュラーな指標であり、業種ごとの統計値がTKCや政府統計などによって公表されています。
売上高経常利益率のめやすは5%であるものの、実際には、業種によって1~10%と大きく異なります。ぜひ自業種の統計値を調べて、自社の利益率と比較してみてください。自社が儲かっているのかが客観的に分かります。
余力があれば、売上高営業利益率も計算してみましょう。単に営業利益率、とも言います。
売上高営業利益率[%] = 営業利益 ÷ 売上高
売上高営業利益率は、粗利益から人件費・経費や減価償却費等を差し引いた時点での利益率を表します。つまり純粋な本業の収益性が分かります。(受取利息や支払利息は、本業の活動とは関係なく発生してしまうものであるため、本業以外の損益=営業外の損益とされます)
営業利益は本業の収益性を示す指標であるため、毎年の業績推移を見る際に役立ちます。ぜひ、過去5年程度をさかのぼって計算し、その推移を確認してみてください。
収益性の指標一覧
指標 [単位] | 計算式 | 目標 | 意味 |
---|---|---|---|
売上総利益率 [%] | 売上総利益 ÷ 売上高 | 前年実績を超えていること | (会社によって仕訳方法が様々なため、一概には言えませんが) 粗利率とほぼ同義。 |
売上高営業利益率 [%] | 営業利益 ÷ 売上高 | 前年実績を超えていること | 粗利率から販管費を引いたあとの利益率。 本業の利益率。 |
売上高経常利益率 [%] | 経常利益 ÷ 売上高 | ≫TKCで業種別の集計値が公表されています。 | 営業利益から、支払利息等を支払ったあとの利益率。 通常の事業活動の利益率。 |
収益性の指標は、損益計算書のうち、以下の色を塗ってある項目を使って計算します。参考にしてください。
次回:生産性について
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