小規模企業に役立つ経営指標(成長性について)

前回の記事はこちら:

はじめに

経営指標はたくさんありますが、「この指標の数値が良ければ万事OK!」というものはありません

財務諸表を様々な指標でチェックすることで、企業の健康状態が総合的に分かります。

  • 短期的な安全性:手元資金は十分にあるか
  • 長期的な安全性:無理な資金調達をしていないか
  • 収益性:儲かっているか
  • 生産性:従業員の給料を払えるだけ稼いでいるか
  • 成長性:業績が伸びているか ←今回はココ!
  • 効率性:資産を効率的に活用しているか

成長性分析

企業の成長とは様々な定義があるでしょうが、売上や利益が増えることがもっとも分かりやすい指標です。成長性分析では、売上や利益の増加率を見ます。

なぜ成長する必要があるのか

ところで、なぜ企業は成長しなればならないのだと思いますか?
「当社は事業を拡大するつもりがないし、ぼちぼちやっていければいいよ」と思っている経営者の方もいると思います。しかし、企業を存続させたければ、企業は成長しなければなりません。なぜでしょうか。

まず考えられる理由は、売上や付加価値が増えなければ、給料を今以上に上げることができないという事です。近年ではジョブ型や成果主義の賃金制度が増えてきたものの、まだまだ年功序列型の賃金制度を採用している企業は多いでしょう。つまり支払わねばならない給与総額はどんどん増えていきます。

また、インフレ率(物価上昇率)の問題もあります。インフレ率(物価上昇率)に応じて給与を増加させなければ、実質の減給になってしまいます。すると従業員の士気はだんだん下がり、また、生活が苦しくなるので離職率が上がります。他社と比べて自社の給料が低ければ新規採用も難しくなります。そうならないために、必要な給与総額はじわじわと増えていきます。

このように、従業員を雇用する以上は必要な給与総額が増えていきますから、その分だけ必要な売上高も上がってきます。そのため、少しずつでも売上を増やさなければならないのです。

成長性の指標のうち、最も計算しておきたいのは売上増加率です。

売上増加率 [%] = (当期売上高 ÷ 前期売上高)-1

売上高は毎年、最低でもインフレ率以上は成長している必要があります。具体的には0.5%〜1%以上です。また、業界のデータが手に入る場合は、同業他社の売上増加率を達成することを目指しましょう

できれば、経常利益増加率も計算しておきたいです。なぜなら売上規模だけ増加して利益がそれに伴って増えていなければ、収益性が下がっているということだからです。事業は、売上と利益(量と質)がともに増加してこそ、健全な成長と言えます。

経常利益増加率 [%] = (当期経常利益 ÷ 前期経常利益)-1

成長性を確認する際は、「経常利益 増加率 ≧ 売上増加率」になっていることを確認してくださいね。

表1:成長性の指標一覧

指標 [単位]計算式目標意味
売上増加率 [%] (当期売上高÷前期売上高)-1

・最低でもインフレ率以上
(0.5%〜1%)

・同業他社以上の売上増加率

売上高の伸び率(企業の体格面の成長率)
経常利益増加率 [%](当期経常利益÷前期経常利益)-1売上高増加率よりも大きいこと経常利益の伸び率(企業の体質面の成長率)
増加率の目標値は、経済産業省ローカルベンチマークの中央値より引用

参考図書

次回:効率性について

この記事を書いた人

林 めぐみ
林 めぐみ
中小企業診断士
経理・財務スキル検定 レベルA
日商簿記2級/基本情報技術者/FP2級

得意な業種:製造業・卸売業  得意なテーマ:経営全般・財務・IT

IT企業でのシステム運用を経て、小規模製造業の取締役を11年間経験。3代目後継者である夫のビジネスパートナーとして尽力し、経営企画からバックオフィスまで幅広い経験を積む。小さな会社でもできるIT活用や財務管理など、実践的なアドバイスが得意です。貴社の「明日の一手」=「あすのて」を導きます。

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